30年で87%をもとに乱暴な計算すると1年で2.9%となったが間違いだった
経済学部教授をされている方が、むこう30年で地震が発生する確率が87%の場合、1年あたりは87/30=2.9%である、とツイートされてたとのこと。
いまさらですが、これについて若干。
なぜおかしいのかの説明を試みる
1年で発生する確率を年数分足すとその年数の間に発生する確率が出る、としているのと同じで、これに乗っかると、35年で試算すると 35*2.9=101.5% になり、100%を超えます。
この時点でアウト。単純な割り算で1年あたりの発生確率を求めようとするのはダメと。
1年あたりの発生確率を求める乱暴な計算
1年で発生する確率を a [0,1]とおき、どの年も発生する確率は a で固定されるとします。この前提自体が乱暴なのですが、ここでは考えません。
aについて。1年間で発生しない確率は (1-a) 、30年間発生しない確率は (1-a)^30
30年間で1度も発生しない確率を "87%" を使うと 1-0.87 = 0.13
これで等式ができます。
(1-a)^30 = 0.13
これをaについてとく手順は次の通り。
log*1 = exp(log(0.13)/30)
1-a = exp(log(0.13)/30)
a = 1 - exp(log(0.13)/30)
ここで実は 2.9% になった
これを google さんに計算させます。数式を「検索」すると計算してくれるという便利な機能を活用します。
1 - exp(log(0.13) / 30) = 0.0291033195
とかと出ました。これ、さっきダメと言った方法と同じ結果になりました。
いやこれ違う
いやでもおかしいと思っていると、不意にlogの底が違うんじゃないかと思い出しました。
私の頭の中では log は自然対数で、底はネイピア数(e)。しかし log を常用対数とする場合もあったはず。
そこで log(exp(1)) を計算してみましたところ、0.434294482 と出ました。
ああこれ底が違うわ。
log(10) は 1 になりました。
…底を間違ってたのが確定。logを常用対数とする場合は、自然対数は ln としています。
ということで、
a = 1 - exp(ln(0.13)/30)
と考えて google さんに計算させてみます。
1 - exp(ln(0.13) / 30) = 0.0657464034
おおこれだ、多分、これが求めてたものだ、多分。
他の人も同じこと考えてたみたいで、この値が方々で見られます。
まとめ
googleさんでは log は常用対数 (底が 10 の対数) です。
*1:1-a)^30) = log(0.13) 30*log(1-a) = log(0.13) log(1-a) = log(0.13)/30 exp(log(1-a